汪 南雁
初めて中国に行き、中国の交通秩序に驚いたという日本人も多いのではないでしょうか。北京や上海では東京や大阪を上回る交通渋滞の上に、かなりスピードも出しますし、ぎりぎりまで車を寄せて割り込もうともします。そして、狭い道で歩行者が右端を歩いていて背後から車に追い立てられることもあります。また、正面の信号が青になったので横断歩道を渡ろうとすると、左から車が突っ込んできて、ヒヤリとさせられることもあります。
何故中国人がそういう危険なことをするのか、何故中国人が交通ルールを守らないのかと憤る日本人は大勢いるでしょう。しかし、もし日本人の皆さんが中国人の性格や中国の交通法を少しでも理解していれば怒ることもびっくりすることも少なくなるでしょう。
まず、日本人の皆さんが中国で見て不思議に思うことは、中国人の性格と関係があると思います。中国人は自分の身の安全は自分で守らないといけないと思っているので、信号よりも自分の判断を大切にしています。従って、赤信号なのに渡る人もいれば、青信号でも左右を注意しながら渡る人もいます。
そして、中国の道路交通法では、歩行者も自転車も車もすべて右側通行で、赤信号でも右折できるようになっています。従って、中国では青信号でも油断して渡ってはいけません。また、中国のバス停留所は日本と反対側にあるので、気を付けないと目的地とは逆方向に行ってしまいます。中国のバスは確かに安い(路線バスなら1元のところが多い)ですが、日本人の観光客が一人でバスに乗ることはあまりお勧めしません。それは、中国のバスはかなり混んでいて、乗り降りも大変で、路線も日本人観光客にとって分かりにくいからです。
中国語があまりできない日本人観光客にはタクシーをお勧めします。中国のタクシーは大体初乗りが12元で、その後2元/kmずつ上がります。警察や各政府の指導もあり、メーター料金は守られていますが、不当に、あるいはとぼけて余計に料金を請求する傾向もあります。乗る前に「要 多少 钱?」と聞くのもいいかもしれません。そして、中国のタクシーは運転手席が透明なプラスチックで仕切ってあることが多いです。道の案内、料金の支払いやお釣りのやり取りが簡単にできるように、中国人は普通助手席に座ります。もちろん、助手席に座れば運転手とおしゃべりしやすいという理由もあります。日本人の皆さんの中でも中国語会話の練習をしたいという方がいれば、タクシーの助手席に座るのもいいかもしれません。
中国の様々な事情を知ることは楽しい旅に繋がると思います。そして、同じアジアの国として、同じ文化そして違う文化と触れ合うことで心がもっと豊かになるでしょう。
参考資料
アルク(2009)『月刊 日本語』46
暢素梅(2010)『3秒で話す中国語』中経出版

上海 交通渋滞

上海 タクシー